Delphinium

都市とは集合体。憧れが補正してほとんどは人の呼吸。詰まって。フィルムの無いフィルムカメラ。地下鉄を知らない駅で降りて、繰り返して、ひとつひとつ潰して、首都高高架下で息を止めて、モスクの塔が見えるアパートの部屋で。空が白い。

この傲慢がいつか身を滅ぼす。扱いに少しは慣れた気がしていた。目が覚めて、不甲斐なくて、人生唯一の嘘をつくこの時だけ。花を買おう、釣りをしよう。死ぬまで付き合わなければならない自分、青に、悦べるときがある、皮肉。

いつか、明るい方の道を選べるように、たのしい方の道を選べるようになること、それが幸せということ。冬に見上げるオリオンのかたち。あの詩人が、死者は星になると言った。君が死んだとき、一層輝く星空を眺めたい、それがわたしにとって愛するということ。過去を忘れないし許容する。諦めることが楽になる、楽になることを拒まず生きる、それが大人になるということ。

いつもより高いコーヒーを飲もうと思った。お湯をはかろうとして注いだ計量カップにヒビがはいった。甘ったるくて頭痛がした。よろこびもあいも無くしてしまった。身に纏うもの食べるもの住む場所を自分で紡いで、生の体系。涙を流したラジオの声にまだ遠くない青。

冬の日のあたたかさ、頭痛、みたいなやさしさ。綺麗な爪、アイスクリームスプーン、まるい歌。月の光は陽の光。燃ゆる星の光は何十年も前のものだから君が一年前に見た星とこの星も同じ光だ。青い時間、海の見える外国の家、一番じゃなくても君の見た綺麗な夕暮れが見たい。世界も変わっているらしいけど本当かどうかは知らない。背中が痒い。

友達、アイドル、宗教、それからどこに行くのか、あの人の歌の名前の花を見かけた新宿駅で。象徴は清明、高貴、寛大、激しい愛着。傲慢。有毒の植物。

君が自分を例えるなら、どんな花を選ぶんだろう。身体に彫りたい花を見つけた。君が軽蔑するような未来を生きるかもしれない。君の考えてることなんて一つもわからないよ。ただの線でも生きてる線だ、写真を買ったり、旅に出たりする。美しく踊ってみたい。

12/23の午後、濃い青のデルフィニウム、5輪の命を抱えて歩いた。青い空だった。青い冬だった。

美しい16と甘い17。いきて。

   

https://youtu.be/m1aQ6haEhdI