Blindfold

 

 

 

嫌いになった人からの手紙を全部燃やしたい夜、君に出していない言葉だけを振り返ってみる、後悔はない。

 

 

 

 

何かが空いていて消費を続けても満ちない内臓、簡単な物で欲を騙す。普通を渇望していたあの時が一番満ち足りていた、ずっと知っていた、言葉の理由もあった。

人は他人のことなんて見ていないと分かったから、あの子たちは大声で騒いでいた。頭痛か腹痛か。車両一番端の座席で仕切りに寄り掛かる、酔いが覚めない。喧騒。信じていたかった強さが下のほうから崩れている、気付かないふりをする。

あの子の影を探すインディーズの気持ち悪さとなんて差はない。心からの待ち人がいるとき、人は死なずにいられるらしい。また後で飲みたくなるかもしれないからとカップに少し残したココア、そのまま忘れてシンクに流す。

 

 

 

わたしがいる世界のものではない景色が、プロジェクターで映し出される。シアターの狭い匂い、嫌いじゃなかった。スモークで冷えた体温、毎回すべてがいのちだった。海を越えた音の方が格好よく聴こえるとき、見つめているのは君の方向った。取り戻せないことを嘆くこともなくなった。すこし嘘だけど。

 

 

 

誰も何も見ることは出来ずに、ただ。ソファーで目覚めて、言葉が途切れている。他の誰も星なんて持っていなかった。あなただけだと言いながら、水飛沫を眺める、あなたもあの童話を気に入っていたならいいのに。あの星、だった気がしたもの、燃え尽きてしまった、嘘の匂いを遺して。

3月の血を拭いたティッシュを捨てた。記憶は埃臭い。

橋の欄干に手向けられた花束は枯れていた。

 

 

 

 

 

左目に星を身篭る少年が目撃する、栄枯盛衰の時間を巻き戻す指先、の温度、誰も知らない。やさしさなんて。夢を見るのがすきだった。忘れていた逃避行を、連れ戻した犯人は誰。知らないふりをして目隠しをする。唯一変わったのは、冷たく黒い海辺に沈むこと。うつくしさへ向かうことを拒んでいた夜が明ける、朝を連れて君は。

 

 

 

パラレルワールドを行き来する魔物みたいにわたしは、夢を食べて、いつか火炙りにされてしまうのだろうか。眠るのは怖い。

あの人、大きな消ゴムみたいに目移りしたものをなくしてしまうこと、制御するべきとか思う隙も与えてくれない。それはわたしが生み出した。

美しさを求めた罪人、夜の国道の水溜まり、孤立したガソリンスタンド、急に切れた糸、すぐに移りゆく薄情、他と並べて、この人のせいで怠惰をゆるさないで。

 

 

 

 

小さかった頃、箱の中で燃えている旗を、どう思っただろう。お互い誤魔化すように味覚だけに語らせて、何も責められない。怒りが冷めて、哀れに見える声が、それでも君に刺さるかもしれないということ。部屋の中だけで息をしている。嘘、嘘、嘘と嘘、それから瞳を閉じた2枚の写真。盲目なのは同じだった。天も地獄も変わらない。

 

 

 

 

 

 

 

温かい喪失

温かい笑笑

僕らは何も見ることができない。君の真ん中で蝶が飛んだ。それをどう示せるというのだろう。あの花は、1日にはまだ瑞々しかった。あの歌は、ずっと聾さなかった。罪の意識が惚けていく、ガラパゴス化してゆく、円の外を見ようともしなかった。眠りに甘んじて、祈ることもせず、貪る時間で思い出す。

もう、花は消えていた。

 

 

 

解脱

 

 

時計の音がいやに響く部屋、世界にありふれる喪失、愛を並べて薄っぺらく見えた。直接だから嘘じゃないと思った。勝手に好きなだけがいい。偶像は偶像のままでいい。

 

 

愛は鎖、幸せな呪いをかけた。いつ落ちてしまうかわからない、刹那に。短絡的な思考。好きな人はみんな星になった。どんな時でも一対一になれやしない。アカウントを作っても結局は薄い。

 

 

あの人の纏う匂い、金具、黒、自殺したミュージシャン、全て格好よくて悲しかった。隙間を埋めるなにかを代わる代わる見つけて、あの酔いから抜けても輪廻する。何も変わらない。麝香だけ残る。マスクをしたあとの甘さ。

 

 

嫌悪が芽生えた時同時に積もっている愛情にお前は気付くべきだ。鎖を弄ぶ時間を殺すこと、外国の住宅街みたいなフィルター、偽物の刺青大都市の裏路地。

 

 

解脱と興味の消失は背中合わせで、私の絵、棺桶の中、踊ることは飛ぶこと、森を突き抜けて朝に浮く、夢の中でも叶わない理想郷を知っている。

 

 

偽っても測ることのできない目が積もる。服を被る/脱ぐ度に世界が別のものに変わっていたら、扉を閉めた向こう側に何かが立っていたら、を考えながらの生活は気が狂いそうだった。

 

 

わたしはこの身体を乗っ取っていて、舞台の上で踊る瞬間だけ本物が顔を出す。そういえば、誰の言葉も信じていなかったな。取り返しをつけようとも思わない欺瞞が薄く層になっていた、わたしは勝っていない。

 

 

何者かになりたいという気持ちも失って崇めるだけになっても否定しない。わたしの還るところは欲だった結局。消して絶つ時間潰し何もかもが変わった一年経って固まった髪空っぽのバスタブ。

 

 

どこにも存在しないのなら求めることも無いのに、形のわからないものを考え続けている。何度針を刺して煙を吸って完成するのか、層の減っていく爪、赤くなっていく顔。矛盾した醜さ。黒い穴に落ちる感覚、は大抵夜、鏡を叩き割って歩く。

 

 

悪夢を作り出す悪魔、同じ一年を繰り返している気がする。塵で口をゆすいだら歌を思いついた。高崇なものなんて目指してないのに昼間に飛んだ瞬間正しくなってしまう。意識の高低差で湿度が下がる。

冬が過ぐ。

 

 

night temperature

 

 

知ったかぶりをする、価値観の相違。ニワカと新規はどこから。自己嫌悪で全てをチャラにできた気でいるの?独りでよがり解決しなかった過去はどうなった。血の染みは消えず残ったままになるってこと、人間の片方なら知っている。

才なんてないと知っていた、それでも吐き出すところがなくてここに辿り着いた、目的など後付けにしかならない。生きていることを傷みたいに刻んで焼印みたいに。陰を知ってからが愛、動作の重いpcと通知音は殺したい。

 

 

取り出すことしかできない現状に哀れさを感じ始めている。暗い部屋とブルーライト。コンビニのイートイン、脱税とか面倒くさいから足が遠のいた。信じられるのは結局日本語ラップだけだね、どこからがネット発、使いこなせないから買った意味なんてなかったんじゃない、本気を計れない。

 

 

久々の退廃的生、部屋が明るく見えるのは気持ち悪い。空っぽの箱のわたしが写したものそのままだけが排出されて、穴の空いたバケツのよう。戻れないくせ、なにかを辞めてしまうことは簡単だ。

 

理想と現実は乖離する、このまま、片方だけが宙に跳んで、あのとき掩蔽された星、生まれて19年経った日に、辿り着く。

 

捨てられないものばかり溜め込んだ角、脳の舌の根を抜くまで、すべてを覆い隠して隔離したい。すぐ近くにある、ビルの上の富裕。区別されていく人生、生まれながら確約された経験値、わたしが感じる明るさも、あの子にとったら見慣れたものらしい。それだけは嫌だと思ったとき、自分の人間を知った。目覚めて、全てを放棄したくなる朝、それでも続いていく時間を呪った。捻じれた価値観をどこに昇華。少し不幸な生。わたしの幸せが資本主義に侵される。

 

 

具合悪いんじゃないの?蒼い顔に口紅だけ映えて。合法未成年飲酒チョコ、何よりも怖いのは飽きることで、死にたいことに気づくことのあさましさたるや。呪いをかけた。気付かない内に。鉄の扉を開けたら心臓が割れてゆく。傷んだ髪の毛は罪のように。

 

 

芸術は、平等に意味を与えるということ。魚雷で爆発する船の綺麗な絵。言葉のない表現をみて言葉の重さを知る、わたしには、ことばしか、なかったのかもしれない。ほんとうは。

 

 

夜が好きなはずだった、朝つゆが希望を抱く気持ち悪さ。風邪の味。ペットボトルの隙間の透明なひかり。最低限度の生活でいいはずだった。

 

 

 

morning dew

 

 

プレイリストの思いもよらない歌。車窓に流れていくたくさんの青色が夜よりもずっと良く見えるのは、悲しいから、珍しいから。あたらしいことをはじめるのは怖い?すべては繋がる。あの夏の夜、の再放送。

 

 

もっと丁寧に生きたいと思った時、横断歩道の灰色は揺れていて、歩き続けることについてふと考える、いつも赤信号が足を止めるのを待っているみたいだ。花嫁の幽霊は断絶の象徴。怖い話を不安になる音を見つけに行く、それは生への固執を奮い立たせるということ。数字の感情を読むことができなくて、まだ私は大人になれない。

 

 

外が自分の中に侵入してくることを拒んだあの頃、耳を塞ぐのはイヤホンだった。感覚で生きることを許して、高架下を好きになれない私がロックライブに行って、ドラムの試し撃ちだけが苦しかった。

美しい人が力強いこと、脆いあなたが綺麗なこと。夢の中の君はいつも泣いていて、それが本当であったら君は消えてしまう。

 

 

浴槽の中に小さな海があるの、両手で掬って、砂と絡みつく花たちを目を閉じて眺めるの。彼女が言った。午後四時、差し込む光はカップまで届かない。潜って、溶けて、記憶だけを頼りにするのはまだ早いという、文化的な人の呟き。悲しみに不誠実を糾弾する人を埋めてしまいたい、私を残して。

 

 

眠りが棘から目を逸らしていいよと言ってくれたのでわたしは夜に隠れて。目を覚ました時間に覚えたのは絶望と安心だった。みんな敵に見えた時、信じるものを探した、それは虚像で、確かな愛だった。わたしだけが知っていると思っていた言葉が日常の至る所で簡単に見つかった、かがやきを失うのは一瞬で、その原因はわかりきっている。

 

 

季節とともに繰り返す、落ちる感覚は、黒い点をミルクの中に零したみたいだ。泥の中から見つめる目、わたしが、龍みたいねと言った君の片目が、虞を覆す。自由の為に振り上げた拳が空に絵の具の線を描いて。底の生活をほとんどの人間がしていて、誰かが煌びやかに見せる時、また別の人が自分の床を拭いている。

 

 

色とりどりのアスファルトが背景に見えて、綺麗で、より理想は乖離する。ごみの散らかる部屋で、あの人たちの声だけが透き通って、ビニールがエアコンの風で揺れる速さで息をしている。着飾る、世界のボーダーで泡が弾けて、捨てられた排水溝の花束、自分の汚さを知っているわたしたちだけが被れる仮面。

 

 

虚しさに押し潰されて頭を抱える。間違いのない正しさのリアル、裏を知ること踏み込むことの怖さ。綺麗な襟足と垂れたピアス、マスク、湿気で互いに崩れた髪。黒ばかりであることは選択肢にあり、わたしの醜さのみが左右する。あの道、多面化してゆく渋谷、気付かないということ、3人のサイン。信じることの背中はエゴ。街で涙を流すことは禁忌みたいだ。

 

 

愛と言われて思いつくもの。もうちょっとましな姿のはずだった。嘘をつく鏡。芸能人ばかりで慣れてしまった。まばたきをした一瞬、瞼の向こう側に君が立っている、永遠に目を合わせられない二人がいる。

 

 

これが、月明かりではないということ。僕のシルエットが君をゆるがす可能性。すべてを捨ててすべてを手に入れる。それで、泣くのは誰。

 

 

 

 

 

17

 

 

わたしと同じくらい、あなたが絶望していたらいいのに。でもわたしより壊れるなんて許さないから、いまやさしい顔で待っている。わたしをしあわせにしながらわたしよりしあわせになればいい。闇を知りながらもわたしより馬鹿でいればいい。

そんなことを思っていた、けど。わたしより先に言っていた、もっと深い穴と宇宙寄りの高度を行き来していた。君は。

そうなんでしょ。

 

年齢は枷にしかならないと思い知らされた時、わたしたちは本当に歳を重ねていたらよかったのにとどうしようもないことを願った、若さを守ってくれるものなどなかった。何も出来ないから助けてくださいって言っても嘘にみえる、外面が無駄にわたしたちを大人にした。わたしたちの幼さをわかる人などいないに等しかった。

 

自分を騙すのが随分上手くなったと気付いても意味はない。内側から破壊される私、外側から穴を開けられる君。2人が同じ色の闇を見ることはない。それでも愛を伝えたいなら、どうすればいいんだろうね。利己的に居場所を求めた結果だとしても、捻じ曲げて美化した像がわたしたちの目には映る、から、わたしたちが生産された。

 

 

わたしたちにはわたしたちとあなたが正しい、深淵から正しそうな声を覗いている。もう、黙っていてほしかった。どうしようもない馬鹿で屑なのはわたしも同じだった。同じもの同士落ちるしかなかった。同じ景色を見ることはないまま。

 

 

汚い声が箱に入って下書きにたくさん並べて置いてある。一年前、汚い愛を向けて生霊がとり憑いた、それがわたしならどんなにいいか、でもお前を苦しめるのはわたしじゃない。使用済み生理ナプキン腕の赤い跡カーテンの隙間反攻のスマホカメラ、何も生まない攻防戦が関係のないわたしたちへの温度を下げて、やる気のないコンタクトレンズ

 

 

捨てられない過去を取り出して慈しみ瞳を濡らす朝、握りしめたままの星、何も変わらないままで佇んでいる、空け。虚無の感覚に襲われる夜、酷い言葉を検索しに行っては傷付いて被害者の顔。誰も正しくないし、仲間など存在しない、やさしさを保とうと苦しいTL。検索候補、履歴、住所、影響迷惑わざとらしい月カットされた救い、もう一度世界が滅べば元通りになればやりなおせるだろうか。虫を潰さなければ。消さなければ。六法全書解体新書味方につけてケミカルでひとっとびでさようなら。

 

 

鈍色をした鬱のコート、テイクアウトのコーヒー、滲む信号機、冬。どこにもいない、存在しない冬。行く宛てのない街。レンタルビデオ店のつまらないラブソング、邦ロック顔のJ‐Popが占拠するヒットチャート。冷気と暖気がまろやかに混ざり合って吐き気のする列車内。守るものを失くした冬。生まれた時から肌のない寒空。

 

 

傷付けたい衝動愛したい全て気化させては必死に集めた、欠けて崩れて元の形なんて何処にもなくなった、目隠しをして作り上げ続けた虚像。だけへ宛てた手紙。届かない手紙。届けたくない手紙。それがぷかぷかと漂って浮遊して、ここに溢れる。吐き出す。

 

何も生み出すことはない。

 

それでも、殺せない。

 

 

 

少女

 

 

大きな丸い目も瞳も細い鼻も三日月のような唇も小さな輪郭も待ち合わせていなかった、これが本物なら泣き叫んでぶち壊していた、重ねていく嘘は小さな変化、無理矢理、変えて、吾を消して、まだましな姿、歌に刺された。

 

 

少女は終わった、踠き探り鮮烈に生きた少女は死んでしまった。あの子が苦しんでいた過去を美化して憧れ、わたしもそんな自殺を知らずに甘ったるい涙で逃げていたかった。それだけの美学のためだけに全てを棒に振ってみたら、なんて、いま頭を痛くするものも、どうでもいいし、ばかみたいだ。

 

 

 

 

共感性なんて気持ち悪いから隠せばいい、理想を詰め込んだノベルに吐き気がする、どうせ届かないなら泥水啜って無理くり貼り付けたら、とか、ぜんぶ、夢物語で、それが、温室みたいで、恥ずかしい。

 

 

うつくしい存在が佇む景色、光に闇があろうともその瞳が、横顔だけが、ひとを救ったこと、とうとい透明に涙する、こんなことだけで、ひとは生きていけるのかと。

 

 

ずっとモノクロで、オフホワイトで、チャコールグレーで、見えていた世界に、色があっても、よろこべない。わたしの視覚は変わらない。あのひとたちには伝わらない、わからない、感覚がわたしたちには溢れていて、ファルセットの煙で、極彩色を紛らわせるしかなくて。

 

 

あの街、あの明かり、あの水、に、馴染める、尖ったままの黒で、いたかったのに、大人みたいになっていく、それが力のなさ、反骨を忘れたら、ほんとうに日和ってしまう、感覚を鈍らせるな、ずっと、鬱憤として、消したいまま、消えないまま、こんなことに耐えるような癖なんて捨てていいから、そうやって。

死なないで。

 

 

すきなひとが遠ざかる、とか、少女が読み進められる音がする、犬の耳も付けずに、読み終わったら、栞はどこに行くの?わたしのお仕事は、君の好きなところを100個書き出すこと、出来そうにないけど。

 

 

違法な幸せ、愛の数、わたしの神さまは弱いから、君の神さまを貰うね。剥がしたネイルシールをカフェのレシートの上に乗せて、紫の花びらみたいできれいだった。トルコキキョウ、好きな人の恋愛観が残酷で似ている気がして、恋はしないけどすき。

 

 

量産型の個性でもないよりマシだとあの子は鳴いた。眉のない顔で微笑む、後ろで鳴っているサイレン、情緒的な生活、格好良いと言っている、そんなものが大人の世界なら、わたしは今すぐ全てを辞めていた。

 

 

夏の凌辱、が似合う、瞳だけ死んでいる。戦うことを選ぼうか?すべての記憶が生き返ったときの腥さ、しにたいね、せめて、ださくなくなってから、言って。本当の少女が終わったら、何が手に入り何が消える、憂鬱は終わる訳じゃない、選択の才能をセンスと呼ぶ、わたしは、なにも、持っていない。

 

 

印象的夏、焼き切れる思い出もない、たのしかった瞬間だけ切り取れば、あれ、わたし、何がたのしかった、なにを見ていた、何のために存在した、なんだったのか、わたしの、感情は。薄れた。

 

 

無機質

 

泡を吐いて沈みこんだアスファルト、部室棟の階段に響く重み、息苦しい傘をさして坂を下る。みんな鳥居が好きだね、君の通学路を選んだ、あの雑誌は売り切れていた、正しいアイスの食べ方をわかった。可愛い声が反応ができなくても生きている人はたくさんいた。がんばってないのにがんばってるって言われるのが嫌い、噂の根源を叩き潰したい、わたしの存在が知れ渡ることが非現実だった。今頃あいつらは愛で楽しんでいるのだろうか。

ひとりが似合うのは、ひとりの特権だ。

 

 

収束した金曜日、ひとは変われるよとか心底どうでもいい、床に捨てた爪の垢をあげるね。君の生活を想う、ペットボトルのキャップを撫でる。唯一不変の愛さえ薄れていっているようで怖い、君のことだけを考えて淋しかった冬に戻りたい。手の冷たさ。愛を失った空っぽのわたしが階段を転げ落ちる。わたしのことを認めるひとは頭がおかしいけれど、愛は冷めるものと思いたくないと歯向かっていた。

 

 

恋をしたいと鳴きながら恋など気持ち悪いと中指をたてている。鍵をかけても状況は変わらずひとつになれるならなんでもいいんですねと汚い脚で呟いている。便利な機能だって使いこなせない、義務に縋って言葉を連ねて、わたしのことを好きだと言ってくれないならその時そこでその手をふりほどいていればよかった。誰もお前のことを好きではないよと言う声が囁きつづけてサイレンをならす。勘違いをするほうが人生は容易い。

 

 

不安定でいたい、確固された哲学とか、手に入れられなくて。春の体液、夏秋の体育、冬の足先が濡れる朝の気持ち悪さ、も、嫌い、ケチャップの味しかしないハンバーグと冷蔵庫の中のお弁当、罪悪感の昼。剥がれ落ちた人生、権利、義務に飾り付けをしてクリスマスケーキにのせて差し出してよ。幼稚園の廊下、キャンドル、冬の山奥、生まれた場所、すべて抱きしめてあたためてくれるひとなんていない、から、わたしの対象はあなたなのだけど。

 

 

ゆがんで呪い伏してしまうから愛するのにアラートが鳴る、斜視の白猫、内裏、内腿、清純派女優、ルール、ビルの上の映画館。片田舎の鬱屈とした少女の感度を忘れたくないから不安なんだ、調子が。ほんと、好きじゃないよ、嫌いではないけれど。フィルムカメラで息を潜めた海を撮りに行こう、バス停。価値も魚も役者。

 

 

自信の値段を聞いて回れば疑う心だけ積もってゆくから、好きと言って誤魔化して精算したつもり。根拠がないと決めつける、夏の千代田線のあの駅、整った数学のノート、カーテンの躍る窓サッシ、腰掛けて、そのまま、落ちていった。水中では息ができない浮き上がれないから、塀に登って、ゆめをみたりするんだ、よ。

 

 

夏の計画、ぬるくなった500円玉、何度好きを殺した、崇高な偶像、ぼくがぼくでいるためのぼくはだれなのかだれがいつ造ったのかぼくはぼくではないからぼくいがいのだれかにきかないといけなくて。愛しているふりをして嫌われたい、嘘だけど。君がしない。汚いキス。

 

 

数年前のあの斜辺の写真を撮ったのは誰だったのだろう、ノートは燃やして、すべては記憶のなかに。わたしが殺されていた時のこと、覚えていますか。わたしは、覚えていないんです。これしか。

 

 

無機物になりたかった日々が蝕んだ、無感情で生きているのが苦しかった、無感情で生きていたかった、正しさなんて何処にも落ちていないよ、何かが足りないのはあのひとが死んだから?平気なとき剥がれたとき、薄いキーボード、愛は行き過ぎるもの、妄想は不可再現。

 

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