Reincarnation

この悲しみは消えないと知って、僕は、神になる

テレビの中みたいな人は君の中にはいないんだよ。僕の陰の方の目が映す最悪が浮腫んで迷子。飛行機に乗りたい、窓側の席で。何かを捨てる様に爪を切る。世界は平和にならない。放棄をすること、正義と思えない人たちが行進するのを横目に寝ている。

2回目の受肉、完全だから偶像みたいになる、血の塊に化けた鮮やかな感情を差し出して、好きだということだけが動かす指先を、あの人が噛んだ。知らない文字の感覚だけが本物で、すべてから排除された孤独を肯定する。湯水のように生きていても誰かを気にせずにいられないから醜さを思っている。

親の愛情がいちばんうつくしいはずだった。他人の家の夕食の匂いがして頭が割れる。義務になれば嫌になっていく。わたしは、向ける先のない愛を神に捧げている。

美しく生きるはずだった、割れた鏡の向こう側には誰もいなくて、何も変わっていなかったから詩を買いたくなる。君は、清い、眩い。空も海も本当はもっと狭くて、渇きだけが広大で、それでも僕は陽にあこがれている。君がレンズみたいに膨張させた、何処の夜も同じだよ。

価値や過去を忘れていく満腹の中でまどろむ。わたしには正常すぎた神が、遠ざかっていく、それを拒んでいる。正しくなりたかった。気が付いたら包丁を握っていて、そこには舌が落ちていた。綺麗にしてあげるよ、数ミリで人生を変える、夢を見た、気の所為で終わる。あの子たち、分かり合えなくても好きだから大丈夫だよ。本当のダサさなんて君には計れない。浴室に響くランキングが気持ち悪くなくなった。わからない。

顔の周り体の輪郭に矢が刺さる感覚が毎晩、扉を開ける度に悪魔が部屋の中に入ってきて、エレベーターに乗る度に殺されている。だから、天国にいちばん近いのは屋上。想像みたいな空の色財布の中の砂、欲しい物なんて本当にあったのだろうか。7％のまま止まったバッテリー、積み重なった紙、大きな音しか出ないイヤホン、部屋の隅でうずくまる誰か。

君のこと考えてない、言葉も出ない、何を着たらいいのか、聴いたらいいのか、思えばいいのか、食べるのか、いつ始めればいいのか、何が正しいのか、が渦巻いて首が取れる。天気がいい日に部屋にいると責められている気がする。君が頑張っていることに本当の意味で気付いていなかった。そんなふうに取り出して見ては僕は他人。

地獄

に落ちた感覚を、君が味わっていないと信じたいこと、それが罪で僕は君の血肉になって全身をめぐる。愛したいものに押し潰される夜、視界が定まって君を映すことはもうないのだと知る。何もかもとっくに終わっていた。

神も、わたしも、世界も、すべて同じだったのだと気付きました。ブレ続ける焦点に弾を撃って、当たっていたのは残像か、或いは当たってすらいなかったのかもしれない。神は、わたしは、わたしが生んだ。意思を托す先はどこでもよかった、無数にある人形。死ぬことは変わるということ。

君に囚われることはなくなった、夜の支配が霞んだ、思い通りの世界がコンピューターの中で息をしている。もう、どの歌も包み込んでくれない。もうどんな君も抱きしめてくれない。抱きしめられない。

街に理想を持てたとき、君に愛を持てたとき、生きていることが大事だったとき、何もかもをひとつのコップに注げたとき。取り戻さないから終わらせよう。怖くないよ、何も。